「フッ素でむし歯予防!」というキャッチフレーズをよく聞きます。
この“フッ素”とはどのようなものなのでしょうか?
フッ素はミネラルの一種です。
フッ素は、通常NaF、CaF2などとして存在し、歯質の強化、う蝕原因菌の活性を阻害し、その結果う蝕の発生を抑制します。
むし歯の原因菌の働きを弱め、歯から溶け出したカルシウムやリンの再石灰化を促進し、歯の表面を強化してむし歯になりにくくする働きがあります。
①虫歯菌のはたらきを抑制
虫歯菌の酵素のはたらきを抑制して、歯を溶かす酸を作らないようにします。
また、虫歯菌の栄養となる糖の取り込みの邪魔をして、菌が歯にくっつき易くするためのネバネバした物質を作るのを抑えます。
②酸に負けないために歯質強化
1)耐酸性向上
歯から溶け出したカルシウムやリンの再沈着を促進します。
2)う蝕抵抗性
歯のエナメル質結晶の弱い箇所を修復し、より強固な結晶を作ります。
3)再石灰化
フッ素は唾液中の成分と共に、虫歯菌の出す酸で溶けかかった歯(脱灰)の表面に沈着します。
それによって歯の表面を表面を修復します。
フッ素はどのように使えば効果的なのでしょうか?
高濃度のフッ素を塗布する
フッ素塗布は歯科医院で歯科医師や歯科衛生士が行う施術で、年に数回、歯の表面のエナメル質に直接フッ素を塗っていきます。
歯科医院などでのフッ素塗布には9000ppmという極めて高い濃度のフッ素ジェルが使われており、濃度が高いため効果が期待出来ます。
生えたての歯は歯の質が弱い(未完成)ため、特に効果的です。
フッ素を塗布した後30分は飲食を控えていただきます。
フッ素入り歯磨き粉でセルフケアをする
【フッ素配合歯みがき剤の年齢別使用方法目安】
年齢 | 使用量 | 歯みがき剤の フッ素濃度 |
洗口その他の注意事項 |
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6ヶ月(歯の萌出)~2歳 |
切った爪
程度の少量 |
500~1,000ppm | 仕上げみがき時に保護者が行う。 |
3~5歳 |
5mm以下
|
500~1,000ppm | 就寝前が効果的。 歯みがき後5~10mlの水で1回程度洗口。 |
6~14歳 |
1cm程度
|
1,000ppm | 就寝前が効果的。 歯みがき後10~15mlの水で1回程度洗口。 |
15歳以上~成人 |
1~2cm程度
(約1g) |
1,000~1,500ppm | 同上 |
日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会(編)より
毎日の歯磨きで使える「フッ素入り歯磨き粉」は1500ppm以下のフッ素濃度と決められています。
歯科医院のフッ素と比べると濃度は低いですが、毎日使用することで虫歯予防の効果を高めていきます。
フッ素を塗れば虫歯にならないの?
残念ながらそうではありません。
虫歯にならないためには毎日のきちんとした歯磨き、虫歯にならないための食生活が大切です。
フッ素はそれらを助けるための1つの処置として、上手に活用していきましょう。