歯周病が全身に及ぼす影響とは?①

歯周病が全身に及ぼす影響とは?①

歯周病が全身に及ぼす影響とは?①

2022.11.28

歯周病が全身に及ぼす影響について

歯周病は虫歯のように痛みの症状が出るのが遅く、歯を失う原因としても、虫歯より多いと言われます。
痛みの症状が出てからでは手遅れということになりかねません。
また、歯周病によって起きた炎症から出た毒性物質が歯肉の欠陥から全身に入り、糖尿病、肥満、心筋梗塞や脳梗塞といった病気を引き起こしたり、悪化させる原因となるということがわかってきました。
歯周病を放置した結果、歯が抜けてしまったというだけでは済まないかもしれません。

 

歯周病と心臓疾患の関係

血管内に入り込んだ歯周病菌が心臓に送られ、歯周病菌が心臓の弁や内膜に取り付いて感染し、心内膜炎を引き起こします。
また、歯周病菌が血栓を形成し、血管が狭くなったり血管内皮に傷が入ることで動脈硬化を起こし、心筋梗塞や狭心症等の発症・悪化のリスクを高めます。
動脈硬化は心臓だけでなく、全身のあらゆる血管で起こってしまう可能性があります
脳卒中などのリスクも高くなってしまいます。

 

歯周病と糖尿病の関係

歯周病菌由来の毒素や炎症性反応物質が血管を通して全身に送られることで、筋肉細胞や脂肪細胞に作用し、糖の代謝を下げたりすい臓で作られるインスリンの働きを弱めてしまいます。
糖尿病が悪化すると、腎臓病、網膜症、神経障害といった合併症の発症リスクも高まります。
近年、歯周病と糖尿病の密接な関係についての研究が進み、歯周病の治療を進めることで糖尿病が改善されることもわかってきました

歯周病と妊娠の関係

妊娠性歯肉炎

一般に妊娠すると歯肉炎にかかりやすくなるといわれています。
これには女性ホルモンが大きく関わってくるといわれており、特にエストロゲンという女性ホルモンがある特定の歯周病原細菌の増殖を促すこと、また、歯肉を形作る細胞がエストロゲンの標的となることが知られています。
そのほか、プロゲステロンというホルモンは炎症の元であるプロスタグランジンを刺激します。
これらのホルモンは妊娠終期には月経時の10~30倍になるといわれており、このため妊娠中期から後期にかけて妊娠性歯肉炎が起こりやすくなるのです
ただ、基本的には歯垢が残存しない清潔な口の中では起こらないか、起こっても軽度ですみますので、妊娠中は特に気をつけてプラークコントロールを行いましょう。
油断すると出産後に本格的な歯周病に移行する場合もありますので、注意が必要です
また、まれに妊娠性エプーリスという良性腫瘍ができる場合もありますので、その場合はかかりつけの歯医者さんにお早めに受診してください。

歯周病と低体重児早産

近年、さまざまな歯周病の全身への関与がわかってきました。
なかでも妊娠している女性が歯周病に罹患している場合、低体重児および早産の危険度が高くなることが指摘されています。
これは口の中の歯周病細菌が血中に入り、胎盤を通して胎児に直接感染するのではないかといわれています。
その危険率は実に7倍にものぼるといわれ、タバコやアルコール、高齢出産などよりもはるかに高い数字なのです。
歯周病は治療可能なだけでなく、予防も十分可能な疾患です。
生まれてくる元気な赤ちゃんのために、確実な歯周病予防を行いましょう。

次回②に続きます。


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