脱臼・亜脱臼

脱臼・亜脱臼

脱臼・亜脱臼

2023.02.16

『歯の脱臼』について

肩などの関節の脱臼はイメージがつきやすいかもしれません

歯の脱臼とは、どんな状態でしょうか?

ケガや事故など、外部からの力によって歯が顎の骨から完全に抜け落ちてしまったり、歯が顎の骨の中でグラグラしたりすることがあります。

このような状態のとき、歯を顎の骨(歯槽骨)に固定している、歯の根の表面にある組織(歯根膜)が断裂しています。

歯の怪我(外傷)の影響は、歯そのものへ損傷の他に、歯を支える組織である歯根膜繊維や歯槽骨などへの損傷という形で表われます。

歯は動揺しているものの元の位置にとどまっている場合を亜脱臼、歯の位置まで動いた場合を脱臼と呼んでいます。

脱臼は歯が動いた方向により、挺出(上方へ)、埋入(下方へ)、転位(水平へ)に分けられます。

 

◆ 治療方法

歯根膜が生きていれば、治療によって歯を助けることができる可能性があります。

しかし、歯根膜が死んでしまうと、歯を元の位置に戻してもくっつくことができず、抜歯になってしまいます。

歯根膜にダメージを与えないようにして、なるべく早く受診していただく必要があります。

亜脱臼

亜脱臼が軽度な場合、硬いものを噛まないなど安静にしていれば、動揺は1週間以内で収まってきます。

しかし、咬合時の痛みにより食事がうまくとれない場合、健康な両隣在歯を含め、レジンを接着させて、歯を2,3週間固定する必要があります。

固定期間中は歯を安静にすること、清潔に保つことが大切です。
歯周組織の回復には、歯垢付着による歯肉の炎症を極力避けるべきです。

処置直後はうがい薬(ネオステリングリーンなど)を使用し、腫れなどが治まってきたら、柔らか目の歯ブラシを用い、いつもより時間をかけて清掃してください。

脱臼

不幸にして歯が抜け落ちてしまっても、抜けた歯の保存状態や歯科医にかかるまでの経過時間によっては、歯を元の位置に戻し、長期間機能を営ませることができます(再植)。
歯を乾燥させないこと(歯根膜繊維の生存)、再植固定まで2時間以内が一応の目安となります。

歯を湿潤状態で保存するといっても、水道水に浸しては歯根膜繊維の生存は望めません。

身近に使える溶液としては、牛乳がよいとされています。

歯根膜繊維の歯槽骨への生着には、固定期間が比較的短い方が有利なようです(1週間から10日)。
歯根膜が生着しないと歯根は直接歯槽骨と癒着し、再植歯と隣りの歯との高さが年々違ってきます。

また、著しい歯根吸収をおこし1,2年以内に抜去せざるを得ない場合もあります。

しかし、歯列咬合の成長期にインプラントは行うことができないため、入れ歯などでなく自前の歯で過ごせることは子どもにとって、再植の意義は極めて高いといえます。

・歯の根の部分を触らないようにして、汚れがついている場合は、軽く洗い流してください

※どれだけきれいな水でも、浸透圧の違いで歯根膜はダメージを受けてしまいます。

洗い流すのは最小限にしてください!!

また、同様の理由で、薬液消毒は絶対にしないでください!!

できれば、牛乳で洗い流してください。

牛乳は人体の組織液に組成が近いため、歯根膜がダメージを受けにくいです。

・元に戻せないときは、歯を飲み込まないようにお口の中の「唇と歯肉の間」もしくは「舌の下」に入れて保存します。

お口の中に入れておけない場合は、牛乳に浸して保存してください。

※歯根膜は乾燥にも弱く、口の外では30分ほどしか生きられません

できるだけ素早い対応が必要になります。

上記のことを把握していて、迅速に動けるのが一番ではありますが、なかなかそうもいかないものと思われます。

困ったら、すぐご連絡いただければ対処方法をお教えできますので、気兼ねなくご連絡ください。


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