唾液の役割 ①

唾液の役割 ①

唾液の役割 ①

2022.07.14

唾液のはたらきは「食べ物の消化を助ける」とイメージしている方が多いのではないでしょうか。
唾液に含まれている「アミラーゼ」という酵素によってデンプンの分解をサポートするなど、食事をするうえで欠かせませんが、他にもさまざまな役割を担っています。
たとえば、「唾液が少なく口内が乾燥した状態の方は、細菌が繁殖して口臭トラブルのリスクが高くなる」などがあります。

唾液には口や体の健康に関わる、さまざまな働きがあります。

唾液は、主に、耳下腺、顎下腺、舌下腺という3つの大きな唾液腺から、1日に1000~1500mlほど分泌されます。
唾液には、健康に関わるさまざまな働きがあります。例えば、食べ物の消化を助けたり、味を感じやすくしたりする働き。それから、口の中の汚れを洗い流す、酸を中和して、口の中を中性に保つ、細菌の繁殖を抑える、再石灰化によって、むし歯を防ぐといった、口の中を清潔で健康に保つ働きがあります。

唾液の仕組み

まずは唾液の仕組みについてご紹介します。唾液は口腔内にある「唾液腺」から分泌されており、成人の分泌量は1日あたり1.0~1.5リットルほどです。

夜眠っている間は日中に比べて分泌量が抑えられるため、口内の細菌が繁殖するなど唾液のはたらきが低下します。
また、ストレスや薬による影響など、さまざまな理由で唾液の分泌量は変化します。

こんなにある、唾液のはたらき

唾液は口内を潤すためだけに分泌されているわけではありません。
たとえば、会話や食事といった日常生活はもちろん、さまざまなところで無意識のうちに役立っています。
粘膜保護・潤滑

唾液が歯や口内粘膜を覆うことで、細菌による刺激や感染、歯の摩耗・脱灰(歯のエナメル質の溶解)を防いでくれます。
また、潤いによって舌や喉の動きがなめらかになり、食事や会話がスムーズになります。

自浄

1日1リットル以上も分泌される唾液は、口内細菌や食べ物のカスを洗い流す役割も担っています。
これを自浄作用や洗浄作用と呼び、とくに食事中の咀嚼行為によって活発に行われるはたらきです。

水分平衡

呼吸や会話で、口内は常に乾燥の危機にさらされます。
乾燥すると細菌が繁殖しやすくなったり、感染や刺激を受けやすくなったりするため、ある程度の潤いが必要です。
唾液の分泌は口内の水分量を調節する役割もあり、これを水分平衡と呼びます。

緩衝

唾液に含まれる炭酸・重炭酸・リン酸などの成分は、口内のpHバランスが酸性・アルカリ性のどちらかに傾かないよう、調節してくれます。
細菌は口内の食べカスなどをエサにしますが、分解時に有毒ガスや酸を発生させ、脱灰を起こし、虫歯の初期症状にもなってしまいます。
しかし唾液が口内のpHバランスを整えることで、歯の脱灰を防いでいます。

抗菌

リゾチーム、ペルオキシダーゼ、免疫グロブリン、ラクトフェリンなどを含む唾液は、口内に侵入した細菌の活動を抑えています。
自浄作用とともに細菌の繁殖を阻害する重要なはたらきです。

消化

唾液中に含まれる消化酵素アミラーゼは、デンプンと反応して麦芽糖へ分解します。
咀嚼によって食べ物と混ざり、消化を助けています。

組織修復

上皮成長因子と神経成長因子が含まれる唾液は、組織修復による傷の治癒を促してくれます。
「ケガをしたときにツバをつけておけば治る」という考えは、この組織修復のはたらきによるものです。

再石灰化

カルシウムイオン、リン酸イオン、フッ素イオンを含む唾液は、食事によって一時的な脱灰状態となった歯のエナメル質の再石灰化を促してくれます。
正常な再石灰化が起こることで、脱灰状態の進行を防ぎ、虫歯リスクを軽減しています。

上記のようなはたらきをはじめ、唾液中に含まれる成分が、口内や全身の健康をサポートしています。

それだけじゃない!唾液と乳酸菌、インフルエンザの意外な関係

『〇〇フローラ(細菌叢)』という言葉に聞き覚えのある方は多いのではないでしょうか。
代表的なのが『腸内フローラ』です。
フローラは本来『一定の区域内に分布する植物の種類』という意味であり、多種多様な細菌によって作られたコロニーが花畑のように見えることから、これらもフローラと呼ばれるようになりました。

実はこの〇〇フローラは、口内にも存在します。口内フローラにもさまざまなタイプの細菌が住んでおり、中には口内に悪影響を与えるものがある一方で、非常に役立つ細菌も住んでいます。

口内フローラに住む細菌のうち、良い影響を与える代表的な存在が乳酸菌です。唾液にも含まれており、うまく活用することで口内環境の改善につながります。

口腔環境とインフルエンザ

口内フローラや唾液に含まれる乳酸菌は、身体に悪い影響を与える口内細菌(病原体)へ対抗するためにも欠かせません。十分な唾液の分泌により整えられた口内環境は、悪い菌に対抗する力がスムーズに働きます。

乳酸菌をはじめとした良い口内細菌を維持するには、適切な口腔ケアが必要です。口臭や虫歯予防はもちろん、風邪やインフルエンザ予防のためにも、口腔環境を整えることも意識してみてはいかがでしょうか。

唾液に含まれるIgAでインフルエンザを予防

体内への悪い菌の侵入を防ぐシステムは、粘膜免疫と呼び、インフルエンザなど重症化しやすい病気の発症を予防しています。

その粘膜免疫を担っているのが、免疫物質のIgA(免疫グロブリンA)です。
口内に侵入してきた病原体は、IgAがくっつくことで無力化されます。
細菌だけではなくウイルスにもはたらきかけるため、風邪やインフルエンザなどウイルス性の病気の発症を防ぐには、なくてはならない存在です。

しかし、日常的なストレスなど、些細なことでIgAの数は減ってしまいます。
口内や目、腸など体のあらゆる粘膜部分ではたらくIgAは、積極的に増やしたいですよね。

赤ちゃんの場合は母乳を介してIgAを取り込むことができますが、大人の場合は体内で産生しなければなりません。

風邪など身近な病気はもちろん、毎年流行するインフルエンザウイルスに対抗するためにも、1073R-1株入りのヨーグルトを活用するなどして、IgAを増やすことが大切です。


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