「花粉症」と「歯の痛み」の関係性

「花粉症」と「歯の痛み」の関係性

「花粉症」と「歯の痛み」の関係性

2022.12.01

花粉症がお口の健康に関係する理由

花粉症は花粉がアレルゲンになって起こるアレルギー疾患で、目のかゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが主な症状ですが、稀にアトピー性皮膚炎の症状や喘息の症状を起こすこともあります。
ただ、花粉症の影響はそれだけにとどまらず、お口の健康にも影響してくる場合があるのです。

 

鼻づまりによって口呼吸になってしまう

花粉症の症状でよくあるものとして「鼻づまり」があります。
鼻がつまると鼻で呼吸がしづらいので、気づけば口で呼吸をしていませんか?
そうすると、お口の中が乾いてしまい、本来、唾液が持つ自浄作用や殺菌作用などが発揮されなくなってしまうのです。

このような状態が続くと、お口の細菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病のリスクがぐんと上がってしまいます。
また、口臭もひどくなりますので、エチケットの上でも注意が必要ですね。

 

花粉症の薬で口が乾きやすい

花粉症の症状を和らげる抗ヒスタミン薬に代表される薬の副作用として「口が乾く」というものがあります。
副作用として「口の乾燥」という症状を起こす薬は結構ありますが、実際にこのような薬の副作用によってドライマウスを引き起こし、虫歯や歯周病のリスクが高まったり、口の中の痛みや味覚障害などを起こしやすくなることは珍しくないと言えます。

 

口呼吸はなぜ良くないのか?

先ほど口呼吸は虫歯や歯周病のリスクを高めるということを述べました。
実は口呼吸はそれ以外にも様々なリスクがあります。

風邪、インフルエンザなどの感染症にかかりやすくなる

例えば、口で呼吸をすることにより、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるケースがあります。
本来は鼻で息を吸うのが普通であり、体内に入る前に鼻毛や鼻の粘液などのフィルターによって取り除かれるウイルスやホコリなどが、口で呼吸をするとそのまま喉の粘膜に付着し、感染を起こしやすくなるのです。

 

歯並びや骨格の形成に影響する

また、成長期の段階で口呼吸をしていると、口呼吸に対応できるような歯並びや骨格になっていきます。
その状態が長期にわたって続くと、出っ歯、締まりのない顔立ち、下顎が引っ込んだ状態、というような特徴的な顔つき「アデノイド様顔貌」になりやすくなります。
歯並びはのちに矯正治療で治すことが可能ですが、骨格が変形して成長してしまうと、骨格からの改善は非常に困難となるでしょう。

この様に、口で呼吸することは歯の健康だけでなく、体の健康や見た目にも大きな影響が出てきます。
口呼吸は、ただ「鼻から呼吸するのが口になった」というだけではなく、意外に多くの悪影響をもたらすもので、「百害あって一利なし」です。

皆さんもご自身やお子さんが口呼吸になっていないか今一度確認し、口呼吸を長引かせないように早めに歯科、あるいは耳鼻科で相談してみることをおすすめします。

 

花粉症で歯が痛く感じることも?!

花粉症で鼻の症状が起こると、歯には異常が全くないのに上の奥歯が痛く感じられることがあります。
その理由として、上奥歯の上方に「上顎洞」と呼ばれる副鼻腔の一つがあり、花粉症による鼻の炎症が原因でその部分まで炎症を起こしてしまうことがあるからです。
花粉症の時期には、虫歯や歯周病ではないのに上の奥歯の歯がしみたり噛むと痛いなどの症状で来院される患者さんが増えることがあります。
実はこれらの症状は花粉症による副鼻腔炎(頬骨の奥にある空洞が炎症をおこす病気)の可能性があるといえます。
花粉症を発症すると鼻の中が腫れて粘膜(黄色い鼻水)がたまります。
その粘膜が鼻と副鼻腔がつながっている部分をふさいでしまい、副鼻腔の中に細菌がたまり、炎症を起こします。
これが副鼻腔炎です。
そして副鼻腔は上の奥歯の近くに位置しており、炎症を起こす事で歯に圧がかかり、歯痛をもたらすことがあります。

もしも花粉症の時期に、ズーンと重苦しい様な上奥歯の痛みがある場合、上顎洞炎や副鼻腔炎を起こしている可能性も考えられますので、一度歯医者で診てもらうと良いでしょう。
そして歯に原因がない場合には一度、耳鼻科を受診しましょう。

花粉症の時期のお口のケア

花粉症による鼻づまりの症状がひどい人、花粉症の症状を和らげる飲み薬を飲んでいる人は、通常よりも虫歯・歯周病のリスクが高まっているということをよく認識しておくことが大事です。
そのため、普段よりもより気をつけるくらいの感じでお口のケアをすることをおすすめします。

もちろん、花粉症を悪化させないために、食習慣を見直し、健康的な生活を心がけ、マスクやメガネなどで花粉対策をすることも忘れないようにしたいですね。


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